第25回単独研究会(SWoPP2018)

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第25回研究会

 

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第25回研究会を開催致します.本研究会は「2018年並列/分散/協調処理に関する『熊本』サマー・ワークショップ (SWoPP2018)」において,電子情報通信学会,情報処理学会の6研究会との連携により開催されます.


プログラム(暫定版)

7月31日 (火) 会場:第一会議室

 

オープニング:(13:25 – 13:30) 主査:相島 健助(法政大)

セッション1:MEPA-1 線形方程式とHPC(13:30 – 15:00) 座長:TBD

  • 講演1(13:30 – 14:00)
    H行列ベクトル積のスレッド並列化における負荷均衡に関する検討
    ○岩下 武史,川村 卓人,深谷 猛(北大),伊田 明弘(東大)

    概要:密行列の近似行列であるH行列は,様々なアプリケーションにおける計算高速化,省メモリ化に広く利用されている.本研究では,伊田らが開発した分散H行列ライブラリHACApKのスレッド並列処理の改善手法について報告する.具体的なターゲットは,H行列ベクトル積のスレッド並列実行における負荷均衡化である.H行列を構成する各部分行列は,そのデータサイズが不均一であり,それに伴い部分行列・ベクトル積の計算量も異なる.そこで,各スレッドが実行する計算量を均衡化するためには,密行列ベクトル積とは異なる戦略が求められる.本研究では,静的および動的な負荷分散手法を含むいくつかのスレッド並列化手法について,その性能について報告する.
  • 講演2(14:00 – 14:30)
    格子H行列を用いた並列行列計算
    ○伊田 明弘(東大)

    概要:低ランク近似手法は、科学技術計算に現れる密行列に対する高速計算手法として近年注目を集めている。様々な行列分割構造を有する低ランク近似手法が提案されているが、それぞれに長所・短所がある。本講演では、H行列法とブロック低ランク法の長所を併せ持つ、高圧縮率でありながら効率的な実装・通信パターン構築が容易な新手法「格子H行列法」について論じる。
  • 講演3(14:30 – 15:00)
    ポストムーア時代の並列反復法アルゴリズム
    ○中島 研吾(東大,理研)

    概要:本研究は,ポストムーアの特徴である,高速・大容量メモリ,メモリ・ネットワークの深い階層性と非均質なレイテンシを有するアーキテクチャに基づく大規模計算環境において高性能を発揮する並列反復法アルゴリズムの開発を目指すものである。本講演では,特にネットワークの階層性を利用したアルゴリズムにについて紹介する。

 

セッション2:MEPA-2 並列行列計算(15:15 – 16:45) 座長:TBD

  • 講演4(15:15 – 15:45)
    漸化式の再構築によるBlock BiCGSTAB法の近似解精度改善
    ○多田野 寛人(筑波大)

    概要:Block BiCGSTAB法は,複数本の右辺ベクトルをもつ連立一次方程式を解くための数値解法の一つであり,BiCGSTAB法を複数回適用する場合と比較して,少ない反復回数,短い計算時間で求解できることがある.しかしながらBlock BiCGSTAB法では,漸化式で計算された残差と近似解から計算された残差の間に乖離が生じ,高精度近似解を生成できないことがある.本発表では,同法の近似解と残差の漸化式を再構築し,二つの残差間の乖離を生じにくくすることで,高精度近似解を生成できる手法を提案する.
  • 講演5(15:45 – 16:15)
    IC前処理の数値データ型による収束性、演算時間への影響の評価
    ○河合 直聡(理研),伊田 明弘(東大),中島 研吾(東大,理研)

    概要:IC前処理を適用したクリロフ部分空間法では、対象の連立一次方程式の係数行列が良条件であり、演算量の削減よって、より一層の計算時間の短縮が望める場合がある。また、Sakurai-SugiuraやFEASTから導出される連立一時方程式など、悪条件な係数行列を持つために、既存のIC前処理では十分な収束性向上が得られない場合もある。
    本発表では、単精度、倍精度、倍々精度を用いたIC前処理を実装し、良条件と悪条件な係数行列を持つ連立一次方程式を対象として、その収束性や演算時間を評価した結果を示す。
  • 講演6(16:15 – 16:45)
    Intel Xeon Phiを用いたSpectral nested dissectionの性能評価
    ○稲川 裕太,二村 保徳,今倉 暁,櫻井 鉄也(筑波大)

    概要:疎行列線形方程式の直接解法において、メモリ使用量や計算量の削減を目的として、Fill-reducingオーダリングが広く用いられている。Fill-reducingオーダリングのライブラリの多くはCPUに対して最適化されているが、GPUやIntel Xeon Phiなどに対して最適化されたものは提供されていない。そこで我々は、グラフラプラシアンの固有値計算に基づくFill-reducingオーダリング法であるSpectral nested dissectionに着目し、グラフラプラシアンの性質に基づく効率的な疎行列ベクトル積の実装により高速化を図る。本発表では、Intel Xeon Phiを用いて本手法とParMETISとの性能比較の結果を示す。

 

セッション3:MEPA-3 行列分解とその応用(17:00 – 19:00) 座長:TBD

  • 講演7(17:00 – 17:30)
    一般化固有値問題に対する分割統治法におけるデフレーション手法について
    ○廣田 悠輔(東京電機大),山本 有作(電通大)

    概要:三重対角行列の実対称正定値一般化固有値問題に対する解法の一つに,Elsner らによって提案された分割統治法がある.一般化固有値問題の分割統治法は,標準固有値問題の分割統治法と同様に,統治フェーズにおいてデフレーションと呼ばれる操作が必要となる.本講演では,一般化固有値問題の分割統治法で必要となる3種のデフレーションを概観し,特に標準固有値問題のデフレーション手法を自然に拡張できない1種について詳しく述べる.また,デフレーション操作によって生じる近似誤差についても議論を行う.
  • 講演8(17:30 – 18:00)
    n次元モデル向けHOTRGの分散並列計算における配列の並び替えの最適化
    ○山田 悠加,今倉 暁(筑波大),今村 俊幸(理研),櫻井 鉄也(筑波大)

    概要:近年、素粒子物理学において系の分配関数を求める手法として、高次テンソルくりこみ群(HOTRG)が注目されている。HOTRGは高次元モデルへの適用が可能であるが、計算量が非常に大きいため分散並列計算が必須となっている。また、HOTRGは配列の並び替えが頻繁に発生するという問題点がある。本発表では、n次元モデル向けのHOTRGの並列実装法を示し、要素の並び替えの計算時間を削減する最適化手法を提案する。
  • 講演9(18:00 – 18:30)
    乱択特異値分解と摂動最小化に基づく動的モード分解
    ○相島 健助(法政大)

    概要:動的モード分解とは,高次元データに対して2010年頃より注目されている有力な解析手法である.動的モード分解のアルゴリズムには特異値分解を用いるが,最近はこの種の特異値分解の計算の高速化の際に乱択特異値分解を導入することが多い.本発表では,動的モード分解における最小摂動アプローチに乱択特異値分解を効率的に導入する数値計算アルゴリズムを提案し,その数値実験結果を報告する.
  • 講演10(18:30 – 19:00)
    疎なT-S行列の疎性を保つ陰的な直交分解について
    ○村上 弘(首都大)

    概要:行列Aが非常に縦に細長い疎行列であるとき,その直交基底を並べた行列は一般には密になる.そのためAが大規模な行列でその疎性を利用して記憶量を節約することで格納を可能としている場合には,直交分解を実際に構成して格納することは記憶量の面から困難となりうる.そこでそのような場合には,元の行列A自身は変形せずに直交基底を並べた行列を明示的には作らず陰的に表すことで,格納に必要な記憶量の増大を避ける方法を採用することを試みる.

 

クロージング:(19:00 – 19:05) 主査:相島 健助(法政大)