第21回単独研究会(SWoPP2016)

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第21回研究会

 

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第21回研究会を開催致します.本研究会は「2016年並列/分散/協調処理に関する『松本』サマー・ワークショップ (SWoPP2016)」において,電子情報通信学会,情報処理学会の6研究会との連携により開催されます.


プログラム
8月9日 (火) 

セッション1:MEPA-1(10:00 – 11:00,会場:国際会議室) 座長:片桐 孝洋(名古屋大学)

  • 講演1(10:00 – 10:30)
    反復型ステンシル計算のマルチコア・メニーコア向け実装に関する考察
    深谷 猛(北海道大学),岩下 武史(北海道大学)

    概要:反復型ステンシル計算はFDTD法をはじめとする様々な数値計算で現れる計算パターンである.反復型ステンシル計算をマルチコア・メニーコア環境向けに実装する場合,メインメモリからのデータ転送コストを削減し,同時に,多数のスレッドを効率的に活用することが課題となる.本講演では,時空間タイリングなどの手法を踏まえながら,マルチコア・メニーコア環境により適した反復型ステンシル計算の実装方法を考察する.
  • 講演2(10:30 – 11:00)
    ブロック化赤-黒順序付けにおけるMILU分解の問題点と緩和係数導入の効果
    塩谷 明美(電気通信大学),山本 有作(電気通信大学)

    概要:少ない同期点で高い並列性が得られる並列オーダリングとして、ブロック化赤-黒順序付けが提案されている。本発表ではブロック化赤-黒順序付けとMILU分解による前処理を組み合わせた場合の危険性と緩和係数の導入による収束性の改善について発表する。また、PIC法におけるポアソンソルバに適用した例を報告する。

セッション2:MEPA-2(11:15 – 12:45,会場:国際会議室) 座長:岩下 武史(北海道大学)

  • 講演3(11:15 – 11:45)
    一般内積に対するグラム・シュミット直交化の演算量削減およびその性能評価
    今倉 暁(筑波大学),山本 有作(電気通信大学)

    概要:本講演では,正定値対称行列 A により定められる一般内積に対し,グラム・シュミット直交化による長方行列のthin QR分解について考える.一般内積に対するグラム・シュミット直交化は,標準内積に対するグラム・シュミット直交化の自然な拡張として導出することができる.しかしながら,従来,サイズがm \times nの入力行列に対し,行列 A の行列ベクトル積が 2n 回必要とされてきた.これに対し本講演では,行列ベクトル積計算を n回に削減するアルゴリズムを提案し,その性能評価を行う.
  • 講演4(11:45 – 12:15)
    階層型行列表現を用いた行列演算
    伊田 明弘(東京大学)

    概要:階層型行列法(H行列法)は、高速多重極法(FMM)と同様に、境界要素法やN体問題に現れる密行列に適用可能な行列近似手法の一種としてしられている。階層型行列法の特徴は、近似行列の要素を陽にメモリ上に置いておくことにある。そのため、階層型行列で表現された行列については一般の行列演算が可能である。階層型行列表現は、上記の問題にとどまらず、数値解析における密行列計算伴う多くの有用な演算を効率的に行う手法となり得る.本講演では、そのような可能性を考慮しつつ、階層型行列の演算について論じる。
  • 講演5(12:15 – 12:45)
    フィルタ対角化法に用いるフィルタの通過域に於ける伝達率の一様性が低い場合に対する対策の考察
    村上 弘(首都大学東京)

    概要:フィルタ対角化法で,使用するフィルタの通過域に於ける伝達関数の値の一様性が低い場合には,使用する浮動小数点数の有効精度の限界から,濾過して得られたベクトルの組に含まれる各固有ベクトルは相対的に伝達率が小さいものは大きいものの影響で覆い隠されて情報の有効な精度が低下あるいは消失してしまう.その結果として,得られる近似固有対の精度が損なわれたり,欠落する可能性がある.そこでその対策について考察を試みる.

セッション3:MEPA-3(14:00 – 15:30,会場:中ホール)(45分講演) 座長:山本 有作(電気通信大学)

  • 講演6(14:00 – 14:45)
    逆固有値問題に対する疑似ニュートン法の導出について
    相島 健助(東京大学)

    概要:逆固有値問題とは指定した固有値をもつような行列を推定するタイプの逆問題であり,その数値解法は盛んに研究されている.近似解が得られている場合はニュートン法が典型的な数値解法であるが,その変種として,固有ベクトルからなる直交行列を歪対称行列の指数関数で表現し,その線形近似とケイリー変換に基づく解法も存在する.本発表では,両手法と固有値問題のある反復改良法との関係を明らかにすることで新たな二次収束の数値解法を導出する.
  • 講演7(14:45 – 15:30)
    非同期並列前処理手法について
    中島 研吾(東京大学)

    概要:エクサスケールシステムにおいては,ノード数の増加,ネットーワークの階層化を考慮したアルゴリズムの開発が必要である。ノード内,ノード間における非同期並列処理は有効な対処法と考えられる。本発表では非同期並列前処理手法に関する研究動向を実装例とともに紹介する。